乙女の書庫。

見たり読んだりしたものの覚え書き。

『誰からも「感じがいい」「素敵」と言われる大人のシンプルベーシック』鈴木尚子

おしゃれ本が続いています。

今回は、以前に他の本の感想も書いた鈴木尚子さんの本です。

 

 〈良かった点〉

タイトルからわかるとおり、この本もベーシック推しです。たしかに、年齢を重ねると、奇抜な服やカジュアルな服が似合わなくなる(自分比)ので、大人にはベーシックで品がある服が必要になる気がします。「今までカジュアルや奇抜な服ばかり着ていたけど、今更ベーシックな服なんて何着たらいいかわからない!」みたいな人にはおすすめです。

「コーディネートの軸をつくるボトムス」という章で、ボトムスの大切さを訴えているのには同感です。買い物に行く時、ついついトップスに目がいってしまいますが、ボトムスは本当に大事!自分に似合うパンツとスカートの種類を知っておくと、コーディネートがきまるようになります(実体験)。

また、一口に「スカート」「パンツ」と言っても、色々な種類や丈があり、それぞれどういう人が似合うのかが書いてあるので、いつも同じようなボトムスを買ってしまうけど似合ってない気がする…という人には解決の糸口になるかも。

「パンツの試着で気をつけること」が書いてあるのもよかったです。パンツを試着をしてもサイズが明らかに小さかったり大きかったりする場合以外、「これ、サイズ合ってるの??」と悩むことがあるので。ウエストはピッタリだけど、膝下に皺が入るとか、お尻がぴったりしすぎてる…?ストレッチ素材だからピッタリしていいの…?とか自分では確信が持てない時ありますよね。

 

〈私には合わないと思った点〉

合わないと思った点はないのですが、写真が多くて、あっという間に読めてしまうので、少し物足りないかな。ボトムス重視なので、トップスについては殆ど書いてありません。

あと、骨格診断について書いてあったのですが、この手の本に書いてある骨格診断は簡易的なものなので、色々な要素がつまっている(例えばナチュラルの要素も持つストレートとか)タイプの人だと誤診してしまう可能性が高くて、かえって混乱するな〜と思います。私もストレートもウエーブもナチュラルも当てはまる要素がほぼ同数だったりするので…。

『MY STYLING BOOK』日比理子

おしゃれ本の感想第3弾。

作者の日比さんのblogも愛読してます…!

MY STYLING BOOK ~いつもの服でおしゃれな雰囲気のつくり方!~

MY STYLING BOOK ~いつもの服でおしゃれな雰囲気のつくり方!~

 

〈良かった点〉

すごく尖っているとか、めちゃくちゃオシャレというわけではないけど、「普通の服を綺麗に着こなす」。そんな方向のファッションを目指している人にはおススメです。ベーシックな服を如何に着こなすかに主眼が置かれています。

スタイリングで使用している服も、UNIQLOやGAPなどのプチプラ服が多くて、真似しやすいです。

「たくさん服を持ってればいいのよ」的なマインドではなく、「必要以上に服は増やさない」という考えも堅実で、好感が持てます。

 

〈私には合わないと思った点〉

この本の考えやファッションは共感できる点が多く、合わないと思った点は殆どないいのですが…。強いて言えば、1冊に書きたいこと全部詰め込みすぎて、本の構成が散漫な気がしました。

あと、裏技として紹介されていた「パンプスからフットカバーを見せない裏技」。早速試してみたのですが、速攻脱げました。私みたいに普通に履いていてもフットカバーが脱げてしまうようなタイプの足の人には無理ですね。

 

『賢いクローゼット』鈴木尚子

今回もおしゃれ本の感想です。

作者の鈴木尚子さんはクローゼットオーガナイザーとして活躍されていて、blogも愛読してます。以前発売した『シンプルベーシックなMy Styleのつくり方』もおしゃれの教科書的な作りでおすすめです。

賢いクローゼット

賢いクローゼット

 

〈良かった点〉

写真は無く、文章とイラストだけの本なので、具体的なコーディネートは載っていません。なので、あくまでもおしゃれに対する考え方を学ぶ本です。具体的なコーディネートが載っていると、どうしてもそれに引きずられますよね。「この服は私に合わないので参考にならない」とか、発行から年月がたってしまうと「このコーディネートは今は通用しない」など思ってしまいますが、この本は文章だけなので、考え方を学んで、自分でおしゃれに生かさなければいけません。目先の具体例を真似するというよりは、根本的な考え方を知りたい人にはいいと思います。

服の処分や収納などについても書かれています。おしゃれをする上で、処分と収納は切っても切れない話題なので、そこも一緒に切り込んでいるのはありがたい。

「10年着られるは、一昔前の話」とズバッと書いてあったのは同感です。いくら質がよくて高額な服でも、実際に10年切られるものって少ないです…。最近は流行の移り変わりが早いし、例えばシンプルなTシャツでも10年前の服と今の服ではシルエットが違うんですよね。あと、いくら服は良くても、自分が年をとってしまって、10年前の服は似合わなかったりします。

 

〈自分には合わないと思った点〉

例えば、独りよがりのファッションをした女性は、大抵、性格的にもバランス的が悪く、友達が少ないもの。

逆に、TPOをわきまえて人に好感を持たれるファッションをしている人は、周りに人が集まってくるし、人気者です。

これはさすがに言い過ぎではないかと思いました。私の周りには独特のファッションセンスだったり、端から見るとダサい服装をしていても、人気者で友達が多い人が何人もいます。逆に、見た目はオシャレでも、話しかけると全然つまらなかったり、性格が悪く、孤立している人もいます。

たしかに、初めて行く場所で声をかけやすかったり第一印象がいいのは、後者のファッションです。おしゃれはマナーでもあるので、場になじむ好感を持たれやすい服装をすることも大事です。人は自分と似たタイプどうしで固まる傾向があるので、あまりにも尖ったファッションや浮いているファッションの人は、周りから理解を得られにくかったり、人が寄って行きにくい損なタイプではあるかもしれません。でも、それだけで、実際の性格がどうかはわかりませんよね。ファッションだけで人格まで決めつけるのはどうなのでしょう…。

 

 

『外資系OL AIのファッションの法則』AI

外資系OL AIの毎日がときめくファッションの法則

外資系OL AIの毎日がときめくファッションの法則

 

ファッション本を読むのが好きです。

コーディネートそものもを参考にするというよりは、作者のコーディネートに対する考え方を参考にしています。

今回は、blogも愛読していたAIさんの本です。

 

〈良かった点〉

外資系OL」とタイトルにもあるとおり、リアルな通勤コーディネートを紹介しています。blogやブロガー発のファッション本は、主婦のプチプラコーデやカジュアルなものが多く、通勤コーデを紹介するものが意外と無いんですよね。スタイリスト本はハイブランドで固めていて、全然実用的じゃないし。実際に真似できる通勤コーデ本は貴重です。ただ、外資系のせいか、通勤コーデの中でもカジュアルめなので、お固い会社ではこの服装は許されない可能性があります。

また、AIさんのファッションは、靴やバッグはハイブランドばかりですが、服はUNIQLOなどのプチプラと、ブランドでもTOMMORROW LANDなどの手が届くショップのアイテムを組み合わせているのもポイント。さっきも書きましたが、プチプラブームのせいか、プチプラブロガー本が多くて、こういうふうにプチプラと中堅ブランドの両方を上手くコーデしている本は少ないので、両方を上手く使いこなしたい人にもおススメです。

当たり前のことだけど、服のお手入れや下着について書いてあるのも良かったです。コーデには気をつかっているのに、下着が服に響いていたり、スケスケだと恥ずかしいですからね。けっこう、そういう人を電車の中で見ます。周りにいやらしさを感じさせないようにする、気をつかわせないようにするのも、洋服の大切なマナーです。

 

〈私には合わないかなと思った点〉

身体のラインが出るようなぴったりした服やミニスカートが多くて、ゆるっとした雰囲気や膝丈・ロングスカートが主流の今のトレンドからすると、少し古いような気もしました。この本が出版されたのは2014年ですが、その後更新されたblogを見ていてもピッタリした服やミニスカートが多かったので、AIさんがそういう服を好きなのだと思いますが…。

BLとは「関係性をみずみずしくとらえる作業」『俺たちのBL論』

今日の感想はこちら。

 

俺たちのBL論

俺たちのBL論

 

 

簡単に説明すると、腐男子のサンキュー・タツオさんがBL初心者の春日太一さんに「BLとはなんぞや?」と教えていく本です。

 

タイトルに書いた

 BLとは「関係性をみずみずしくとらえる作業」

は、この本の対談でBLに目覚めた春日太一さんのお言葉。

今まで、こんな素敵な言葉でBLを定義したことがあっただろうか…。

しかも、男性の口からこれが出てきたということが凄い。

 

大変面白く読みました!

自分の経験と照らし合わせながら読んだので、自分を見つめ直して、「あれっ、私ってBLではこういう設定が実は好きだったんだ?!」という新たな発見もありました。

 

感想を書こうと思って付箋を貼って読んでたのですが、貼った付箋の数は33枚にもなったよ…。

それらについて全部言及しようと思うと、記事を何個かにわけなくてはならないぐらい長文になってしまうので、簡単に。

 

「BL」と「やおい」、「オタク」と「腐女子」の違い

世間では混同されがちな、この違いについて説明されていたのは良かったです。

でも、「やおい」という言葉、今の若い子は使うのかな?

既に死語な気もします。

 

萌えには「キャラ萌え」と「関係性萌え」がある

これには、すごく腑に落ちました。

私、2次創作の同人誌を買う時、「キャラとしてはAが好きだけど、カップルとしてはB×Cの方が萌える」というのがたくさんあって、どちらかというと好きなキャラの本より、萌えるカップルの方が同人誌で読むのが好きだったりします。

それって関係性萌えだったんだな、と今になって思います。

 

「腐」とは余白と補完の知的遊戯である

こちらも本の中にある名言ですが、本当にそう思います!

これは2次創作についてですが、1人のキャラ、1つのカップルでも、腐女子から見たら色々な解釈があって、そのキャラのどこにスポットをあてるかによって、全然違うストーリー(妄想)を作り出せるんですよね。

本の中にもありましたが、自分が好きなカップリングしか認めなくて、それ以外のカップリングを拒否する人もいるのですが、私はその辺はかなりゆるい思考だったので、1つの作品の中でも色々なカップリングを読んでました…。

自分が思いつかなかったカップリングを読むと「おお、そういう解釈の仕方があったか…!」「このキャラにはこういう一面があったのか…!」*1と思ってしまって、色々な同人作家さんの解釈を知るのが面白かった。

 

なんで男同士なのか

たぶん、BLに興味ない人も、腐女子も1番知りたいのはこれですよね。

当事者の私でも、なんでBL好きなのかわからないし、永遠の謎です。

本の中で、タツオさんに教育されて春日さんが段々BL好きになっていくのは、わかりやすいですが、私の場合、最初から抵抗無く読めたし。

 

自分でもBL好きなのが不思議で、その答えを探しに、以前にもこういうBL論的なものを読んだのですが、ジェンダー論とか「女性は抑圧されているから」みたいな本が多くて、全然ぴんと来なかった。

 

この本の中では、

  • 男×女だとどうしても女が受け入れる側になってしまう
  • 男×女では恋愛以外の関係性に持っていくのは難しい
  • 男×男だとお互いが対等な関係で描ける
  • 男×男だと関係性にバリエーションがある
  • 男×男だと女性の自分は関係ないので一歩引いたところから読める

などの説が書かれていて、たしかに頷けます。

作家のあさのあつこさんも「男×女では関係性が決まってしまうけど、男同士だと恋愛以外の関係性が書ける」みたいなことを仰っていたのを、どこかのインタビューで読みました。(うろ覚えなので間違っていたらすみません。)

 

ジェンダー論よりはしっくりきましたが、これが全てかというと…?

 

私の場合、男性が傷ついたり悩んだり追いつめられたりする精神のギリギリなところが見たいというのもある気がします。

少女漫画だと、主人公の女の子の心理描写はあるけど、相手の男の子の心理描写はなかなかないので。

 

初心者にBL本を薦めるなら何にするか

これ、いつも悩みます。

1冊目に読んだものがつまらなかったら、もうBLに興味がなくなってしまうので、面白がってくれそうなものがいいですよね。

この本の中では、中村春菊の「世界一初恋」「世界一初恋」、中村明日美子「同級生」シリーズ、水城せとなの「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」でした。

 

私、中村春菊苦手なんですよね…。

世界一初恋」のシリーズは読んだことがないので、もしかしたら面白い可能性もありますが…。

 

あと、「窮鼠は〜」のシリーズは、作者のお2人は「内面描写が凄い!」と絶賛されていましたが、これも私は苦手で。*2

読み応えはありますが、ドロドロしていて、恋愛に執着しているかんじが女々しく感じてしまって。

BLというよりレディースコミックを読んでいる気分になってしまいます。

 

だから、私が薦めるならこの2つはないな。

 

私が3冊選ぶなら、タツオさんも薦めていた中村明日美子「同級生」シリーズ、寿たらこの「コンクリート・ガーデン」、高永ひなこの「恋する暴君」にするかも。

 

「同級生」シリーズは、本の中でも同じことが書いてありましたが、少女漫画の延長線上に読めそうなので。

1冊めでいきなり、出会い→セックス*3にならなくて、何冊かかけて徐々に恋が深まっていく様子も、初心者には読みやすいのではないかと。

 

「コンクリート・ガーデン」はSFなので、特殊な設定の方がファンタジーとして男同士ということに抵抗なく読めそうだから。

 

恋する暴君」も少女漫画の延長として読めそうな絵柄だし、なにげに心理描写が凄い。

さすが10巻も続いているだけあって、登場人物の心理戦がガッツリ描かれています。

でも、レイプまがいの行為が最初の方にあるし、主人公の森永くんはめっちゃ恋愛脳なので、駄目な人は受け付けないかも…。

 

「腐」とは個人的なもの

これも本の中に書いてありましたが、本当に個人的なものなんです。

だから、この本に書かれていることが全てではないし、もちろん異論反論もあります。

 

本の中にあった無機物萌え(鉛筆×消しゴムとか)を腐女子が全員しているかというと、違います。

そんなこと、私は考えたことないです。*4

街中であやしい2人の男子を見ても、そこで妄想なんてしたことないです。

 

腐女子が漫画や小説を読んで、なんでもかんでもBL的妄想をするかというと、それも違います。

BLではない普通の本を読んで「あー面白かった!」で終わる作品もあるし、「むむ、こいつら萌える…!」と腐女子スイッチが入る作品もある。

私は前者の普通に読むパターンの方が多いです。

BL以外の本で腐女子スイッチが入ることなんて、全体の1パーセントもないのでは。

私はなかなかスイッチが入らないタイプだけど、逆にいつでもスイッチ入りまくりな人もいます*5

 

わたしはオリジナル作品のBLもやおい(2次創作*6)もどっちでもいけますが、その片方しか好きじゃない人もいます。

実際、やおいは好きだけどオリジナル作品のBLは読まないという人はけっこういます。

 

オリジナル作品のBLの消費の仕方も、少女漫画と区別なく「恋愛もの」として読んでいる人もいれば、かっこいい男性がたくさん出てくるから好きという人もいるでしょうし、性描写激しめの作品も多いので単なるエロ本として読んでいる人もいると思います。

 

だから、BLに今まで興味がなかった人がこの本を読む場合、この本は本当に「入り口」だと思ってください。

あくまで作者の2人が考えるBL論なので。

 

余談

BL年表に

98年「ANIMAL X」杉本亜未徳間書店

とありましたが、正しくは92年に角川書店から出たのが最初では。

「ANIMAL X」は、角川書店徳間書店白泉社と色々な会社から出ていますが、角川書店版以外は再録か、再録+新作だったはず。

 

あと、年表にCJ Michalskiの漫画が入っているのも謎だ。

この人の漫画好きだけど、年表に入るほどすごい売れたとかBL業界が盛り上がったという記憶は無いのですが、私が知らないだけ??

 

*1:もちろん、勝手なキャラ付けをするのではなく、原作の中にある「ヒント」を拾い上げて、その一面にスポットをあてることによって新しい解釈のキャラ付けができる。

*2:水城せとなの他の作品は好きです。

*3:最近のBLは1冊で即セックスになるので、この風潮には物申したい。これを書き出すと長くなるので、別の機会に。

*4:「妄想しろ」と命令されたら、考えることはできます。

*5:私の友人は、漫画でも小説でも映画でも、「腐」要素があるものは何でも好きで、あらゆる「腐」要素のあるものをチェックしていた。

*6:更に補足すると、この本の中では女性が書く2次創作は男同士の恋愛ものしかないような誤解を与えますが、ギャグや普通の友情話、日常の話などの恋愛じゃないものもあります。また、恋愛でもノーマルカップリング(男×女のカップリング)もあります。